ananxxxのJUNK STORY

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ソフトバンクの世界を巻き込んだ規格戦略

 最近、ソフトバンクの勢いがすばらしい。10月初旬、移動体通信4位のイー・アクセスの買収を発表し、世間を賑わせた。そして、11日には、米国の移動体通信3位のスプリントを2兆円で買収する方向で交渉が行われていることが明らかとなった。相次ぐ買収劇に、期待と不安を感じた人は多かったはずだろう。私もこの報道を聴いて、驚きを隠さずにはいられなかった。この一連の買収劇について、12日のダイヤモンド・オンラインのソフトバンクが米携帯大手に出資を検討 スプリントとはどんな会社か、その狙いと影響はがわかりやすい記事であった。この記事ではソフトバンクの買収目的として、ベンダーへの調達コストの削減やアップルに対する発言力の強化などさまざまな目的が挙げられている。中でも、僕が特に気になった目的が、TD-LTE規格の普及のためであるという点だ。TD-LTEとは、TDD方式(TDD=Time Division Duplex:時分割多重)をとったLTEのことで、上りと下りで同じ周波数を用いて、時間ごとに上りと下りの通信を分割する方式のことだ。現在、日本で採用されている方式のほとんどが、FD-LTE方式というもので、上りと下りの周波数が異なっている。TD-LTEは、FD-LTEに比べ、周波数が手に入れやすく、コストが安い。また、音声通信ではなく、データ通信が主流になった時代にとって、利便性の高い通信技術であるのだ。

 こうしたメリットから、次期規格として世界中のあらゆる通信業者から有望視されている。ソフトバンクは次世代型通信規格を推進するために、今まさに世界中を巻き込んで、この規格の先駆者とならんとしているのだ。中国、インド、アメリカを巻き込んで、その切符を手に入れようとしている。ダイヤモンドの記事にも紹介されているように、このTD-LTE方式の研究・開発は主に中国の通信ベンダーや通信キャリアによって行われてきた。こうした企業と、買収をした旧ウィルコムを通してコネクションを持っていることはさることながら、ソフトバンクは中国インターネット大手のアリババを傘下に持つなど、中国との距離が非常に近い。また、ソフトバンクの社外取締役には、インドの移動体通信1位のエアテル会長のスニル・バーティ・ミタルが務めている。エアテルは、今春、インド初の4Gサービスとして、TD-LTEを普及させた。

 そして、次なる行く先がアメリカであったのだ。今回、買収が噂されたスプリントの傘下にはクリアワイヤという無線通信会社がある。クリアワイヤはTD-LTEの高い技術力を有しており、スプリント社は米国でTD-LTEの牽引役を担っている。(13日現在、ソフトバンクは新たにクリアワイヤの買収も検討中との報道がされている。)

 ソフトバンクは「情報革命」の担い手として、今後も次世代規格の覇権取得に向け、大きな動きをみせるであろう。国内の経済成長に鈍化が見られる中、日本再生の原動力となって、世界を舞台にこれからも躍進していく姿を期待したい。