ananxxxのJUNK STORY

勉強していること、気になったことを書きます。ガラクタのような文章が、誰かの心に届き、共有できると嬉しいです。

マスクを買ったらアイリスオーヤマ。

 インフルエンザが例年に増して猛威を振るっている今年の冬。風邪を引きたくないから最近は予防でマスクをして出かけることにしている。そこで、とあるドラッグストアでマスクを購入したのだが、製造メーカーの名前を確認すると「アイリスオーヤマ」の文字が…。僕は疑問に思った。「アイリスオーヤマって確か電球や収納ケースを作ってた気がしたけど、どうしてマスク??」。そこでこの不思議な会社について色々調べてみることにした。すると革新的な経営者のもと、他に例を見ない独特の商流で成功を収めている会社であることがわかった。

 アイリスオーヤマの前進は、大山森佑が創業した大山ブロー工業社という町工場であった。大阪府東大阪市でプラスチック製品を手掛けるメーカーだったが、森佑の急死に伴い、大山健太郎(現社長)が跡継ぎとなる。その後、本社を宮城県仙台市へ移し、社名を(株)アイリスオーヤマに変え創業を続けるうちに、家庭用の半透明プラスチック収納器具が爆発的なヒットを遂げることとなる。健太郎氏の革新的な経営手腕によって、現在では収納器具をはじめペット用具、ガーデニング用具など幅広い商品を手掛ける総合家庭用品メーカーにまで成長したのだ。僕が気になった、この会社の特徴的な商流は下記の3つである。

①メーカーベンダーとしてのSCM

通常、メーカーはメーカー→卸売業→小売業→消費者という順で最終的に製品を消費者へ届ける仕組みとなっている。ところがアイリスオーヤマの場合、メーカー+卸売業→小売業→消費者というサプライチェーンを構築しており、自らをメーカー+卸売業者(メーカーベンダー)としてSCMを行なっている。卸売業を内在化することで、コストの削減につながるそうだ。さらに、小売業者や消費者との距離が近くなることで、情報のアクセスが早く、深くなり、お客様目線の製品開発、販売ができるようになるるそうだ。こうした独自の商流を作ったことが、競争力の高い製品をつくることに貢献している。

②SRGの製品開発

SRGとは①S=Simple(シンプル)②R=Reasonable(リーズナブル)③Good(グッド)の略である。アイリスオーヤマの製品は多品種であるため、製品は取り扱い説明書を必要としないシンプルな製品設計が求められる。また製品開発を行う際、まずはお客様に買ってもらえる価格を決定したうえで、製品の機能やデザインなどを設計し、利益を見込むのだそうだ(引き算の方式)。お客様に商品をカジュアルに購入してもらうためにはリーズナブルな価格設定でなければならない。そして、製品は価格に一致した、ベストでもベターでもないグッドな製品をつくりだすことを意識して日々、製品開発を続けているとのことだ。

多品種少量生産

アイリスオーヤマは年間、1000種類もの新商品を発売している。ジャンルもさまざまだ。LED照明、ホームエレクトロニクス、ヘルスケア、収納・インテリア、ペット用具、ガーデニングなどがジャンルとして挙げられる。もともと、プラスチック用品を製造する会社からスタートしたのだが、オーヤマの強みは素材を加工し、製品化する開発力にあるという。小ロット化に対応した工場でその強みを生かし、プラスチックや木材、繊維など多くの素材を組み合わせることで多品種少量生産を可能にしているのだ。素材の加工段階から内製化することが、フレキシブルな製品づくりに大きく貢献している。

 

 ペット用品から家電までジャンルが違うにもかかわらず、多品種少量生産で売れる商品を作り続けられるのは、常にお客様目線で経営を行なってきたからに他ならない。現に新事業であるLED電球の売上はホームセンターを中心に伸ばしており、パナソニックや東芝製の古参を脅かす存在となっている。ほしい製品は何でも作れるその姿は「デパート」のような工場と言えるだろう。今回、マスクをきっかけにこの会社のことをよく理解することになったのだが、今後もしホームセンターに行く機会がああれば、どれくらいの存在感を放っているのかを実際に確認してみたいところである。