ananxxxのJUNK STORY

勉強していること、気になったことを書きます。ガラクタのような文章が、誰かの心に届き、共有できると嬉しいです。

石原氏の出馬表明に対する雑感

 先日、石原東京都知事が次期衆議院選挙への出馬を検討していることが話題となった。現在務める知事を年内に辞任し、新党を結成して国政へ出馬するのだそう。なんと御年80にもなるおじいちゃんであるにもかかわらず、新たな権力の舞台で活躍を目指されるなんて、いったいこの人はどれほど現世に未練をお残しになさっておられるのかと関心するばかりである。

 石原氏と言えば、都の尖閣諸島購入問題で日中関係に大きな亀裂をもたらした真犯人だ。反日デモや、不買運動等、その後の経済的損失を考慮すると、その代償は計り知れないものであろう。そもそも、いち地方自治体の首長が、外交問題に関与すること自体が、間違いであり、無責任極まりない行動であった。この都知事の無責任な行動の結果、政府は場当たり的に尖閣諸島の国有化を決めたわけだが、この政府の行動が中国の怒りを買う結果となった。国政に進出ともなれば、外交政策に関して国民の代表者として、発言することができるため、その機会を狙っての出馬表明であることは自明である。私は、この尖閣問題に関しては「棚上げ」をすることが、日本の国益にとり、現在取りうる最善の選択肢であると考えるため、政府による国有化、そもそも都の購入自体支持しない。そういう意味で、私は今回の石原氏の国政出馬には懐疑的である。というより、期待をしていない。多くの国民も同様、彼の個々の政策には支持していないだろう。

 だが、彼に強いリーダーシップを期待するものは多いのかもしれない。テレビやインターネットの世論では、確かに彼に対する批判的な意見が多い。にもかかわらず、都政においては、彼は一定の支持を得ることができている。実際、昨年の都知事選挙でも再選を果たすことができた。政策はよくわからないけれど、この人についていけば、何かが変わるのかもしれない、そんな漠然とした期待を抱く人々が彼を支持することになる。石原慎太郎はそんな期待感を人々に抱かせるだけの、求心力を持っているのだ。

 国民は今の日本に閉塞感を感じている。復興、財政、少子高齢化、エネルギー、外交など解決を急がれる課題は溜まっていく一方だ。そんな中、遅々として進まない政治。唯一、念願だった消費税増税は野田首相の功績と言えるのかも知れないが、そもそも公約違反であり、国民の支持を得られていない。3年前に国民が抱いた青描写はいったいどこへいってしまったのだろうか。今や民主党は瓦解し、いよいよどの政党・政治家を支持すれば、日本は良くなるのかが見えにくくなった。そんな閉塞感を打開してくれる人材を、私達は強く欲している。その現れが、日本維新の会を率いる橋下徹の出現であり、今回の石原慎太郎の出馬表明であるのかもしれない。今後の動向に注目していきたい。

 

             

ソフトバンクの世界を巻き込んだ規格戦略

 最近、ソフトバンクの勢いがすばらしい。10月初旬、移動体通信4位のイー・アクセスの買収を発表し、世間を賑わせた。そして、11日には、米国の移動体通信3位のスプリントを2兆円で買収する方向で交渉が行われていることが明らかとなった。相次ぐ買収劇に、期待と不安を感じた人は多かったはずだろう。私もこの報道を聴いて、驚きを隠さずにはいられなかった。この一連の買収劇について、12日のダイヤモンド・オンラインのソフトバンクが米携帯大手に出資を検討 スプリントとはどんな会社か、その狙いと影響はがわかりやすい記事であった。この記事ではソフトバンクの買収目的として、ベンダーへの調達コストの削減やアップルに対する発言力の強化などさまざまな目的が挙げられている。中でも、僕が特に気になった目的が、TD-LTE規格の普及のためであるという点だ。TD-LTEとは、TDD方式(TDD=Time Division Duplex:時分割多重)をとったLTEのことで、上りと下りで同じ周波数を用いて、時間ごとに上りと下りの通信を分割する方式のことだ。現在、日本で採用されている方式のほとんどが、FD-LTE方式というもので、上りと下りの周波数が異なっている。TD-LTEは、FD-LTEに比べ、周波数が手に入れやすく、コストが安い。また、音声通信ではなく、データ通信が主流になった時代にとって、利便性の高い通信技術であるのだ。

 こうしたメリットから、次期規格として世界中のあらゆる通信業者から有望視されている。ソフトバンクは次世代型通信規格を推進するために、今まさに世界中を巻き込んで、この規格の先駆者とならんとしているのだ。中国、インド、アメリカを巻き込んで、その切符を手に入れようとしている。ダイヤモンドの記事にも紹介されているように、このTD-LTE方式の研究・開発は主に中国の通信ベンダーや通信キャリアによって行われてきた。こうした企業と、買収をした旧ウィルコムを通してコネクションを持っていることはさることながら、ソフトバンクは中国インターネット大手のアリババを傘下に持つなど、中国との距離が非常に近い。また、ソフトバンクの社外取締役には、インドの移動体通信1位のエアテル会長のスニル・バーティ・ミタルが務めている。エアテルは、今春、インド初の4Gサービスとして、TD-LTEを普及させた。

 そして、次なる行く先がアメリカであったのだ。今回、買収が噂されたスプリントの傘下にはクリアワイヤという無線通信会社がある。クリアワイヤはTD-LTEの高い技術力を有しており、スプリント社は米国でTD-LTEの牽引役を担っている。(13日現在、ソフトバンクは新たにクリアワイヤの買収も検討中との報道がされている。)

 ソフトバンクは「情報革命」の担い手として、今後も次世代規格の覇権取得に向け、大きな動きをみせるであろう。国内の経済成長に鈍化が見られる中、日本再生の原動力となって、世界を舞台にこれからも躍進していく姿を期待したい。